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小林良曹アトリエ館

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荒船新雪 
1975年 油彩・キャンパス 80×100 群馬県立近代美術館所蔵


その存在を知ったのは、今年の一月。
高崎信用金庫本店で開催されていた「郷土ゆかりの作家展」に足を運んだとき。
山口薫や福沢一郎など、群馬県出身作家15名の作品30点が展示されていましたが、
もはや、ひと目惚れ的に心奪われたのが、小林良曹の「軽井沢」という作品。
軽井沢の街並みを前景に、緑の離山と一筋の噴煙を上げる浅間山。
何とも言えぬ柔らかなタッチと、独創的な色使い。
「こんな画家が群馬県にいたんだ・・・。ほかにはどんな作品を残しているんだろ・・・。」
早速ネットで調べ、安中市にあるという「小林良曹アトリエ館」を訪ねてみました。
アトリエ館は、息子さんご夫妻が良曹の生家内にある土蔵のアトリエを展示館に改装したもの。
その日は冬季閉館中だったにも関わらず、快く作品を見せていただきました。
「杉並木の画家」と呼ばれ、安中市民に愛された小林良曹。
アトリエには安中杉並木をモチーフにした作品や、ヨーロッパの風景や抽象画も展示されていました。
奥さんの淹れてくれたコーヒーをいただきながら、テーブルの片隅に置かれた作品集をめくってみると・・・
そのなかには、これまた、ひと目惚れ的作品がいくつも収められていました。
特に山好きの私にとっては、故郷の山々を描いた多くの作品に心奪われっ放し。
時に大らかで大胆で、時にやさしく繊細で。
とりわけ釘付けになったのが、「荒船新雪」なる一枚。
伊勢崎辺りから眺めた風景とのことですが、青い大地と空の間にぽっかり白く浮かぶ荒船山。
まさに大海原をゆく一隻の白い船。
白い氷山のようでもあり、凛とした上州の冬の空気感が伝わってきます。
あまりの作品の素晴らしさ、これはぜひとも現物を実際に見てみたい!
その翌週には、現在所蔵されている高崎の群馬県立近代美術館へと向かっていました。
(常設展示作品ではないので、事前に特別観覧の申請が必要です。)
80×100という大作が放つ圧倒的な存在感と、目を奪われる青と緑の複雑なグラデーション。
言葉などなく、ただ作品を前に立ちすくむしかありませんでした。
そして今日、3/23からオープンとなったアトリエ館へ再び。
先般のお礼や近代美術館の件などなど、ご夫妻としばし良曹談義をさせていただきました。
コーヒーをいただきながら、ゆっくりと良曹の作品と語り合うことのできるアトリエ館。
絵画好き、山好きにはぜひ足を運んでいただきたい、とっておきのスポットです。

小林良曹(こばやし りょうそう)
1909年 群馬県安中市生まれ
1935年 帝国美術学校卒業、二科展初入選以後毎回出品
1947年 自由美術協会に参加、その後主体美術協会創立に参加
1970年 ヨーロッパ取材旅行以後数回渡欧
1977年 群馬秀作美術展出品(県立近代美術館主催)
1986年 県芸術文化功労賞受賞
1988年 群馬県美術会会長就任
1989年 勲五等瑞宝章授与
1991年 高崎市スズランアートギャラリーにて10回目の個展
1992年 緑の森で個展、群馬県美術会顧問、主体美術協会会員
1999年 死去

小林良曹アトリエ館
安中市安中1-6-5
℡:027-381-1328
開館曜日:金・土・日
開館時間:AM10:00~PM5:00
入館料:大人¥500、小人¥200(コーヒー付き)
展示掛け替えのための休館日あり

※ ご主人の了承をいただき、作品集の中からいくつか紹介しています。



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妙義山  1986年

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御荷鉾  1983年

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黎明の妙義山 1986年

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雪原(浅間山) 1980年

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軽井沢 1975年

by sanzokuame2 | 2012-03-24 22:26 | ぐんまな資料


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